これリストラかも…どうしよ?

人事から突然届いた一通のメール

早期退職は敵前逃亡か? 精神論でリストラ(再構築)はできない

 3連休中にインターネットで無料配信されていた映画「硫黄島からの手紙」(米映画、2006年)を観た。ネットとはいえ、映画を観るのは久しぶりだった。

 早期退職を決めた開放感が大きいのだろうなと思う。ここ数年、観たい映画を探すことすら面倒だったし、2時間もの間、集中力を切らさない自信もなかった。
 映画を観たいという気持ちが湧いたこと自体に高揚したものの、いざ観る映画を選ぶ段階になると、最近の映画にはやはり関心が向かない。好奇心がだいぶ減少してしまったようだ。
 単調な仕事を毎日ぐったりするまで続けているうち、新しい体験や刺激が億劫になっていたのだろう。
 結局、時間をかけて昔観た映画の中から比較的新しい「硫黄島からの手紙」を選んだ。たかがネット配信の映画を観るだけなのにリハビリのような気分になる。

中村獅童が演じた海軍中尉

 さて、見終わってどうだった? 前回のRCサクセションを取り上げたブログとも共通するが、早期退職を決めた今だからこそ、これまでになかった発見があり、それなりに面白かった。何かといえば、中村獅童が演じる軍国主義を具現化したような伊藤中尉の心情の変化だ。

硫黄島からの手紙 [ 渡辺謙 ]

価格:880円
(2020/2/25 20:44時点)
感想(13件)

 伊藤中尉は、玉砕を認めず徹底抗戦を命じる指揮官に反発し、単身で交戦地帯に向かっていく。敵の戦車に突っ込むのかと思いきや、味方の死体に混ざって草やぶの中で死んだふりを始める。
 その後、指揮官から玉砕攻撃の命令が出て日本兵がバタバタ死んでいくなか、伊藤中尉は洞窟に隠れていたところを米兵に発見され、投降する。
 初見時、死体に混ざったのは「敵に見過ごさせて助かるため」、単独で行動したのは「その姿を部下に見られたくないため」と解釈していた。
 あらためて観たことで、夜に目が覚めた伊藤中尉が「なんで戦車が来ないんだよ!」的な言葉を発していることに気づいた。当初から生き残ることを企てていたわけでなかった。身体に巻いた地雷ごと踏み潰してもらい、戦車を破壊することを目論んでいたわけだ。
 余談だが当時、獅童竹内結子という美人妻がいながら年若のタレントとの不倫がバレた直後。「獅童=ダメな人」という先入観が、ことさら伊藤中尉を情けない人物として植え付けた可能性も否定できない笑

グーペ

無能な上司ほど精神論だけ

 会社の話に戻る。業績がみるみる落ちていく中、人員削減はゆるゆると進んでいる。うちはその真っ最中。新規事業も中途半端に並行しており、数字以上に人手不足を体感する。
 効率化や仕事自体を減らしてこそ、「リストラクチャリング=再構築」が始まるはずだが、無能な「上司=指揮官」ほど精神論で乗り切ろうとする。
 それは合理性に欠け、いたずらに戦力を消耗する玉砕そのもの。異を唱えれば、やる気がない非国民と見なされ、陰湿なモラハラ部長らの餌食となる。
 映画を観て、日本軍にうちの会社がダブったのは、敗色濃厚の戦況を前に「早期退職を選ぶことが敵前逃亡のようだ」と自分でも自覚しているからかもしれない。
 クリント・イーストウッドには、自分の命が惜しくなり、洞窟に隠れた末に投降するまでに至った伊藤中尉の葛藤をもっと描いてほしかった。

▼早期退職制度を申請するまで…始まりはこちら