承認キター! 早期退職が決定、ブラック企業じゃなかった?
ウイルスとともにブラック企業によるコロナハラスメントが蔓延し、退職代行業者が繁盛しているらしい。リストラされる身だけど辞め(させ)られるぶんだけ、うちが結構いい会社に思えてくる。
承認キター! 早期退職制度の申請が認められた。新型コロナウイルスを理由に値切られると思っていた退職金の割り増し額も約束の通りだった。
面談開始の通知と同様に承認の連絡もメールだった。昨日の朝一番に確認すると、人事からではなく社長から直々にメールが来てた。面談者が伝える慣例かもしれない。
申請が承認された旨が淡々と告げられ、最後のほうに「都合の良いときに退職届を持ってきてください」とあった。名前と日付を書いて押印さえすれば、退職届が完成するテキストファイルも添付されていた。
退職届のひながた添付
あまりの手軽さに拍子抜けしたが、さっそく社長室に持っていく。当たり前だが社長は不在だった。今にして思えばよく面談の時間を作ってくれたものだ。
まずは一回り年下の秘書室長に割り増し分も含めた退職金の額を確認。そのうえで退職届を手渡す。封筒が見つからなかったのでA4判のクリアファイルに入れたままだ。
失礼かもしれないと思ったが、手続きに必要なだけで形式ばらなくてもよいのだろう。秘書室長は変な顔せずに、頭を下げながら丁寧に受け取ってくれた。エリートは人間がよくできてるな。
面倒なことは明日に
部署に戻り上機嫌で仕事をしていると、人事からの書類が入った分厚い大きな封筒を陰湿なモラハラ部長が無言で渡してきた。
報告してこないのが不満かもしれないが、放っておく。中を見ると、まず最初に「コロナ対応で人がいないので、これを見て自分で手続きを進めてください」との旨が書かれた紙が出てくる。
もろもろの保険の手続き、再就職支援サービス、返却物の有無、役場やハローワークに提出する書類の束…「よくあるQ&A」とかいう手製の冊子まである。うんざりしてすぐに封筒に戻し、机の中にしまい込んだ。
解放感にあふれた今、そんなものを読む気分にはなれない。面倒なことはあしたに回そう。
Jill WellingtonによるPixabayからの画像
シフト担当者に早期退職が決定したことを報告。年度内はふつうに勤務して4月に入ったらどうしても人繰りがつかないところだけ出てほしいとのことだった。
うちの部署も新型コロナウイルスの影響で意外と忙しくなっている。悪いときに辞めることになった。有給休暇を買い上げ枠以上に残してしまうが致し方ない。
それにしても、こんなにも晴れ晴れするとはね。この爽快さが味わえるなら、もう一度入社してやってもいいくらいだな。
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